dangomoonの日記

今日も何事もない素晴らしい一日を

大腸内視鏡検査で分かったこと


大腸内視鏡検査を受けるための準備は、検査の前日の朝から始まった。

翌日の腸の洗浄を滞りなく進めるため、前日の食事は消化の良さそうな数種類の食品に限られるのだ(おかゆ・食パン・うどん・バナナ・豆腐・プリン)。

「一日朝昼晩とこれさえ食べれば大丈夫」という検査食の購入も勧められたが、そこはケチって、食パン、おかゆ、豆腐、プリンでしのぐことにした…

…が、魔が差した。

食パンを食べる際に、私は牛乳を飲んでしまったのだ。

病院でも「牛乳は飲まないで」と言われ、もらった説明書にも、「コーヒー紅茶(ミルクは除く)」と書いてあり、自分でも「×牛乳」とメモまでしたにもかかわらず、

「パンにはやっぱ牛乳でしょ。まだ夕方だし液体だしちょっとくらい大丈夫でしょ」

と、医療ド素人の私の勝手な判断により、牛乳を数口摂取した。

後は指示通り、夜寝る前に緩下剤を飲んで寝たのだが、午前二時に、腹痛で目が覚めた。

猛烈な腹痛に吐き気も加わり、便座から離れられない。そのまま便座の上で燃え尽きて真っ白な灰になりそうな気がする。「牛乳は飲むなー!」と涙ながらに半日前の自分にビンタしながら教えてやりたい。その後なんとか1時間ほどで痛みも吐き気もおさまり、再び布団に横になる事が出来た。どこも痛くもなく布団の中でぬくぬくと眠れる事の有難みを、私はもう決して忘れない。f:id:dangomoon:20201101101605p:plain

検査当日は絶食で、自宅で朝9時から1時間半くらいをかけて洗腸剤を飲み、腸をキレイにした後で病院へ行き、昼頃の検査、という流れだった。

深夜の腹痛を思うとまた薬を飲むのは恐ろしかったが、こちらの洗腸剤のほうは不思議と全く痛みもなく、私の便はみるみる透明な液体へと変わっていった。出来ればこちらの薬だけにして欲しかった~と恨めしく思ったが、牛乳を飲んだ私が悪いのだと思い出した。

病院に移動し、病院のトイレで看護師さんに改めて私の透明な便を見て頂くという恥ずかしいチェックを終え、お尻に穴の開いた恥ずかしい検査着に着がえて、診察台に横たわる。その瞬間に私は青ざめた。

「このまま入院になったら?」だの高額医療費やら余命宣告などの心配をするよりも、すね毛の処理をしておくべきであった。すっかり忘れていた。

頭上のモニターには自分の腸内が映し出され、医者が「見えますか~」などと声をかけてくれるが、私は伸ばしっぱなしのムダ毛のある足と医者や看護師からの距離の近さが気になってそれどころではなかった。

検査の痛みは、自分の落ち度による深夜の腹痛に比べれば小さかったが、医者と看護師は痛みに耐える私を優しく励まし褒めてさえ下さるので、余計に「目障りな諸々をさらして本当にごめんなさい(涙)」と心の方が痛んだ。

チラ見したモニターには、初めて見る私の腸が映っていた。詳しい事は分からないが、検査の最後まで「ん?これは…!」という展開は無かったように思う。

…多分…大丈夫っぽい…!??

「結果は次の診察日に」ということで、まずは無事に病院からの生還をはたした。

三日後、検査結果を聞くために病院へ行った。多分ガンではないであろうにまたあの医者に会うのは気が重かったが、医者というものは患者のすね毛の剛毛さなどはいちいち覚えていないはずだ、と自分に言い聞かせた。

検査で撮影した大腸内の画像をモニターで私に見せながら医者は「異常はありませんでした」と教えてくれた。

「では便の検査の潜血反応はなぜ?切れ痔でしたか?」と聞こうかとも一瞬思ったが、自分の肛門付近やらすねやらの記憶を甦らせたくはないので質問はせず、逃げるように病院を後にした。いいのだ、ガンでなければそれで。私は腸の「異常なし」をパンと牛乳で祝った。

潜血反応の原因ははっきり分からなかったが、分かったことが二つある。

一つは、私の予感は当たらない、という事だ。あの悪い予感は何だったんだ。飲んではいけない牛乳による腹痛とムダ毛で恥ずかしい思いをするという事の、悪い予感だったとするなら当たったとも言えるが、走馬灯を回すほどではなかった。

もう一つは、病院へ行く時には気を抜かずに毛を抜くべきだ、という事だ。